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柴田錬三郎 続江戸群盗伝_2281
カバー装画 川田 幹

 

ネタバレなしの読後感想

 

天保の改革(1841-1843年)により奢侈禁止で街が暗く沈んでいた頃の物語です。幕府評定所留役御目付の権力を持って、長年にわたり交易の抜け荷により50万両の財宝を秩父に蓄えた所在を能面 阿古父尉に記されていたことを知る船乗りの遺言から始まる、これでもかのフルコースの贅沢なストーリーです。
抜け荷、仇討ち、将軍のご落胤、からくり屋敷、美女に美男なんでもありのように見えますが、作者の力なのでしょうかとてもうまく絡み合っているとともに、先の予測を裏切ってくれる流れです。伝奇小説が得手な柴田錬三郎さんならではだと思います。なぜか“続” から読み始めてしまいましたが、登場人物がどのような設定になっているのかを知りたいと思いました。それほどに登場人物の一人ひとりが魅力的に描かれているからです。

 


 

チャンバラ小説の作家として、バラエティー番組のタレントとして活躍した方だ。1970年代までは多くの時代劇ドラマがあり、子供たちは空き地で棒を持ち、チャンバラごっこをしていた。柴田錬三郎は、『眠狂四郎』などの剣豪小説を書き、このチャンバラブームの立役者となった。眠狂四郎の円月殺法を、子供たちが真似をしないわけがなかった。剣先で大きな円をゆっくりと描く田村正和さんの姿は、とてもカッコよかったから。

 


 

<柴田錬三郎の紹介>
1917年3月26日岡山県生。本姓斎藤。慶大支那文学科卒。在学中『三田文学』に「十円紙幣」を発表。戦後編集生活を経て、51年「イエスの裔」で直木賞受賞。代表作「眠狂四郎」「赤い影法師」他。(集英社文庫から)

 


 

柴田錬三郎さんのその他の文庫本

決闘者 宮本武蔵 少年篇
決闘者 宮本武蔵 青年篇
決闘者 宮本武蔵 壮年篇(上)
決闘者 宮本武蔵 壮年篇(下)
血汐笛
孤独な剣客
生死の門
邪法剣

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