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<なだいなださんの紹介>
昭和4(1929)年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。
精神科医として勤務するとともに、文筆業をつづける。
医学書や留学先のフランスにまつわる小説やエッセイを多く執筆。
平成25(2013)年没

 


 

続娘の学校

なだいなだ 柳生弦一郎 続娘の学校 中公文庫
カバー装画 柳生弦一郎

 

子ネコのようだった四人の娘たちは成長し、なにかとムズカシイ齢ごろになった。パパは孤軍奮闘気味だが、さすがは、なだ校長、愛と薀蓄と気力を傾倒して名講義を続行する・・・・(中公文庫 裏表紙から)

 


 

ネタバレなしの読後感想

ラジオの『こども電話相談室』の回答者をつとめていた、精神科医である筆者が、フランス人の奥さんとの間に生まれた3人の思春期の娘さんたちの家庭学校の校長、という立場で書いたエッセイです。
時代背景にベトナム戦争や田中角栄内閣などがありますが、話の切り口に古さを感じさせない軽妙洒脱な文章です。
娯楽性のなかにも考えるきっかけを与えてくれます。

 


 

野越えやぶ越え『医車』の旅

なだいなだ 丸山洋平 野越えやぶ越え『医車』の旅 文春文庫
カバー装画 坂田政則

 

兄達を医者にしたがっていた母も私にだけは望まなかった。「おっちょこちょいのお前が医者になったらと考えただけで、心配で眠れなくなるよ』 − もちろん、私もその気はない。なによりも乗り物が大好きで、電車の運転手に憧れていた少年だったのだから・・・。精神科医へのでこぼこ道を、ユーモアたっぷりに描いた自伝的小説。(文春文庫 裏表紙から)

 

<もくじ>
・「車」に乗れたのは医者だけだった   ・人殺し商売になろうとする
・人殺しから人すくいへの転向   ・見失われた母校
・フランス語なかま   ・信じられないけど、純真だった
・ふらんすへ行たしと思えども   ・パリでめぐりあった人々
・自由にめぐりあい、そくばくにめぐりあう   ・電パチ先生となる
・患者は先生です   ・アカデミック好きのかみなり
・女ごころオンチ   ・六十年アンポの頃
・海辺の病院へ   ・ぼける
・はじめよければ・・・・・・   ・首つり、かけおち
・ゆうれいよ、さようなら

 


 

ネタバレ無しの読後感想

精神科医でもある、なだいなだ氏の自伝的小説です。インターン時のフランス留学でのエピソードなどは、現在と比べると隔世の感があるが、ユーモアに満ちた文章に飽きることが無いでしょう。

 


 

パパのおくりもの

なだいなだ 山本美智代 パパのおくりもの 文春文庫
カバー装画 山本美智代

 

作家でもある神経科の医者さんがフランス人の奥さんとの間に生まれた三人の娘さんたち、ユキ・ミト・チカに贈る愛のプレゼント。
幼な子たちのかわいい行状と、パパの昔の留学の思い出からヨーロッパ紀行と、数々の挿話の中に卓抜な文明批評が織り込まれている愛と機知とユーモアに溢れた楽しいエッセイ集。(文春文庫 裏表紙から)

 

<もくじ>
・パパのおくりもの   ・教育につて
・お前たちのママ   ・悪徳について
・かずかずの偶然について   ・十年ぶりのパリ
・ラ・マンブロールでの夢想   ・大学都市ふたたび
・ケネディの暗殺   ・ためいき
・平和と英雄との関係   ・裏町にて
・日本人のこと   ・やぶけるという言葉
・スペインとポルトガルへの旅   ・イギリスにて
・ロンドンの六月   ・プラーハでの一ヵ月
・コペンハーゲンから   ・フィンランドの自然と人間
・パパのゆうれい

 


 

ネタバレなしの読後感想

精神科医でもある作者が、フランス人との間に生まれた幼い三人の娘さんたちに、公費でフランス、イギリス、チェコ、デンマークなどのヨーロッパの国々を視察している間のことを中心に、言葉のプレゼントをするとい設定で書かれたエッセイ集です。後に書かれる「娘の学校」につながる構成で、ユーモアに富んだ文章は、心和ませてくれる。
当時の世相や暮らしを、垣間見ることもできる。

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カペー氏はレジスタンスをしたのだ

なだいなだ 山本美智代 パパのおくりもの 文春文庫
カバー装画 山本美智代

 

人間の心の深奥にひそむ不可思議なメカニズムとは? かつて対独地下組織の勇士だったカペー氏は、何故にアル中患者になったのか? 若き精神科医として、フランス留学中に材を得た表題作ほか、「天国泥棒」「神話」「くじらと幻視者と」「小さき町より」「こんにちはじいさん」「聖マリ」「爆発」など傑作七篇を収録。(集英社文庫 裏表紙から)

 


 

ネタバレなしの読後感想

表題を含む8作の短編小説を収録しています。
精神科医でもある作者が、診察などから感じたことを題材としていることが伺えます。第二次世界大戦後まだ間もない時期のことであり、戦争によって精神にダメージを受けた人が多くいたことに現在の日本との隔世を感じます。人の心の脆さと、その脆さを補おうとする心のありようを其々の作品で描いています。作者のボキャブラリーとフランス文学の知識の豊かさが作品に彩を与えています。

 


 

 


 


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