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内館牧子 アイ・ディー・スリー あしたがあるから 角川文庫
カバー写真 アイ・ディー・スリー

 

結婚退職を夢みている普通のOL令子に、ある日、突然、部長の辞令が下りた。社長からは結婚延期の “命令” までだされた。恋も、もちろん結婚も、ましてや退職なぞままならない。人生設計は大きくくるってしまった。
大手商社を舞台に、恋に、仕事に、ある運命に懸命に立ち向かう女たちの、新OL物語。(角川文庫 裏表紙から)

 


 

ネタバレなしの読後

2022年冬(1〜3月)に日本テレビ系列で放送されたドラマ『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』を彷彿とさせる小説です。この小説の場合は悪意によるムチャブリですが・・・。
1991年12月に単行本として上梓された作品で、同時期にテレビドラマにもなりました。当時のOL(今でもこう呼ぶのかな?)が結婚退職に幸せを求めていた様子が見られます。昭和の頃にはOLをクリスマスケーキに例えて24歳(日)までに結婚す(売れ)ればいいが、それを過ぎると価値がなくなるという、今ではタイピングしただけでも訴えられるのではないかと心配するような、礼を失したことがいわれていましたので、それよりはマシですが。
ストーリーはあまり複雑ではありませんが設定が盛りだくさんであり一気に駆け抜けるような展開なので、脂っこい揚げ物を食べた後のような胃もたれ感が残りました。もう少し紙数があれば “なるほど〜” となったかもしれないが、ちょっと忙しすぎましたね。
財閥で働く一般女性という設定の韓国ドラマにリメイクできそうな内容で、今の世相には合わない作り事然とした作品です。

 


 

<内館牧子さんの紹介>
秋田県生まれ、東京育ちの全共闘世代。武蔵野美大卒。13年半に及ぶOL暮らしを経て、脚本家に。代表作に、映画『BU・SU』、TVドラマ『思い出にかかわるまで』『クリスマス・イヴ』『あしたがあるから』『・・・・ひとりでいいの』『ひらり』。エッセイ集『ベティちゃんの地味なくらし』『ベティちゃんの心の情人』。(角川文庫から)

 


 

 


 


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