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カバー装画 井上 悟
女房は、因果なことに私と同じように小説を書いている。一つの屋根の下に二人の小説を書く人間が住むわが家は、化け物屋敷といったところである。/小説を書くことは孤独な作業だと言われているが、孤独が二つそろっていては孤独でもなんでもなくなる。が、いかなる運命のいたずらか、孤独が住みつくことになった。それゆえに、いんがなという言葉も口に出るのである。本文〈私のふるさと〉より(旺文社文庫 裏表紙から)
<吉村 昭の紹介>
1927(昭和2)年東京生まれ。学習院大中退。主な作品に『星への旅』『戦艦武蔵』『零式戦闘機』『彩られた日々』『神々の沈黙』『陸奥爆沈』『冬に鷹』『ふおん・しいほるとの娘』『漂流』『ポーツマスの旗』『魚影の群れ』ほかがある(旺文社文庫から)