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松本清張 菊地信義 乱灯江戸影絵(上) 角川文庫
カバー装画 菊池信義

 

「越前、ちと探しものをしてくれぬか」―南町奉行大岡忠相が将軍吉宗に命じられたのは、辰口評定所の目安箱に投じられた上書の差出人岩瀬又兵衛の身元の探索だった。
配下香月弥作らの捜査は、前年同じ目安箱への投書で褒美を受け、のち居所を隠した山下幸内の追求にあわせて進められたが、幸内に係る針医了玄の失踪、百姓茂平の変死と事件は相ついだ。
芝の安寿庵尼僧が殺されたのも、間も無くだった。その前身は吉宗長子で狂疾の家重の生母付き女中で越前の生まれ、そして吉宗もまた、密命を与えた庭番青木文十郎wpその地に赴かせていた。すべての謎が、越前に絞られて行くようだった。・・・・(角川文庫 カバーそでから)

 

松本清張 菊地信義 乱灯江戸影絵(中) 角川文庫
カバー装画 菊池信義

 

 (尼殺しの犯人は別にいる)―
伝馬町の牢に捕らえられた浮浪人幸太の自白に疑いを抱いた香月弥作は、ひそかに越前の許可を得、幸太を牢外に放したが、彼をかくまったのは、何んと常盤橋御門内に屋敷を持つ越前鯖江藩だった。その国家老佐野外記。彼は、旗本大久保伊勢守が、ある秘密の隠ぺいのため尼を殺害、その罪を幸太に着せようと図ったことを察知していた。
大久保家の秘密とは何にか? 絵師宝仙を名乗る庭番文十郎が、以前大久保家が陣屋手代を務めた越前丹生の山村でその恐るべき真相を知った時、彼の身には不気味な刺客の影が迫っていた。・・・・
将軍長子の家重出生の謎を渦の中心に、事件は意外な拡がりを見せ始めた。(角川文庫 カバーそでから)

 

松本清張 菊地信義 乱灯江戸影絵(下) 角川文庫
カバー装画 菊池信義

 

 絵師宝仙の行方を探して江戸に現れた鯖江の旅籠女中里の死体が、ある朝、大久保伊勢守の門前に発見された。鯖江藩佐野外記の手の者が殺め、その場に放置したものだった。
外記は伊勢守の知らぬ宝仙の正体を自分が女から聞き知ったことをほのめかしていた。秘密の探知を武器に伊勢守を威嚇、自藩の国替えを老中主座安藤対馬守に取りつがせようとする外記の試みは執拗だったが、その隣藩福井藩にもまた、鯖江藩の越前追放、家重の後見対馬守追い落としの思惑があり、藩家老の次男本多織部らの行動もどうやら、それに係わるものらしい。事件は江戸城内外をゆさぶった。大の虫を助けるために小の虫を殺そうとする名奉行大岡越前の秘策とは何か?(角川文庫 カバーそでから)

 


 

「点と線」や「ゼロの焦点」などを書いた推理小説の大家ですが、私にとっては子母澤寛や海音寺潮五郎とならぶ歴史小説の作家です。
司馬遼太郎とは異なる松本清張の世界を本から味わって欲しいと思います。
また、その容貌から、小学生のものまねネタになっていたぐらい有名な人でもありました。

 


 

<松本清張の紹介>
明治42(1909)年、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。昭和28年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。31年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。38年「日本の黒い霧」などの業績によりジャーナリスト会議賞受賞。45年菊池寛賞受賞。「点と線」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」など多方面にわたる多くの著作があり、「松本清張全集」(T期38巻、U期18巻、文藝春秋)が刊行されている。(文春文庫から)

 


 

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