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松本清張 伊藤憲治 天保図録 上 角川文庫
カバー装画 伊藤憲治

 

江戸城内吹上の庭の桜の実も紫色になった、初夏を思わす、四月半ば過ぎのある日、十二代将軍家慶の側用人水野美濃守は老中部屋に呼ばれ、水野越前守忠邦から、突如、お役御免の上意を告げられた。世に云う天保の改革の始まりであった。
 大名・諸役人の綱紀粛正、奢侈禁止の令、・・・・諸改革は矢継ぎ早に立案されたが、その断行に己の配下本庄茂平次の暗躍。壮大な構想の下に、徳川天保政治の実態を描く長篇時代小説。(角川文庫 カバーそでから)

 

松本清張 伊藤憲治 天保図録 中 角川文庫
カバー装画 伊藤憲治

 

 南町奉行矢部駿河守放逐に成功した鳥居耀蔵は、遂に、その職と地位を手中にし、改革の遂行は峻烈を極めた。
 物価の引下げを図る問屋組合の解散、幕府財政の枯渇を潤す印旛沼開発工事、外敵防禦のための大阪十里四方直轄地化、それぞれに水野忠邦以下改革派の政治生命を賭す大計画であったが、幕閣に、大奥に、市中に、彼等の専横を難ずる反改革派の声は、しだいに高まっていった。・・・・(角川文庫 カバーそでから)

 

松本清張 伊藤憲治 天保図録 下 角川文庫
カバー装画 伊藤憲治 

 

 印旛沼開さく工事は難航し、大阪十里四方上知令は、御三家の強力な反対に会った。
 しだいに威勢を失い、日ごとに苦悩の色を深める水野忠邦、その失脚を予測し、反改革派土井大炊頭らに接近を図る鳥居耀蔵の裏切り。・・・・
 天保改革の失敗と変転する人びとの運命を重厚な筆致で浮彫りする完結篇。(角川文庫 カバーそでから)

 


 

「点と線」や「ゼロの焦点」などを書いた推理小説の大家ですが、私にとっては子母澤寛や海音寺潮五郎とならぶ歴史小説の作家です。
司馬遼太郎とは異なる松本清張の世界を本から味わって欲しいと思います。
また、その容貌から、小学生のものまねネタになっていたぐらい有名な人でもありました。

 


 

<松本清張の紹介>
明治42(1909)年、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。昭和28年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。31年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。38年「日本の黒い霧」などの業績によりジャーナリスト会議賞受賞。45年菊池寛賞受賞。「点と線」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」など多方面にわたる多くの著作があり、「松本清張全集」(T期38巻、U期18巻、文藝春秋)が刊行されている。(文春文庫から)

 


 

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