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松岡圭祐 八月十五日に吹く風
カバーデザイン 坂野公一(welle design)

 

アメリカが敵視した、人命を軽んじ易々と玉砕するという野蛮な日本人観が、一人の米軍諜報部員の報告で覆った。戦後占領政策転換の決め手となった一九四三年、北の最果てキスカ島での救出劇。日本は人道を貫き五千人の兵員を助けた、戦史に残る大規模撤退作戦を、日米双方の視点で描く感動の物語。〈文庫書下ろし〉(講談社文庫 カバー裏表紙から)

 


 

ネタバレなしの読後感想

日本軍が最初に玉砕をしたアッツ島と敵に知られることなく無傷で撤退したキスカ島のことを知ったのは、小学五年生の時に学校の図書室から借りた本を読んだときだった。同じ頃にテレビで『決断』というアニメを放送していた。太平洋戦争中における様々な決断によって戦史が動いたことをテーマにしたものだが、その中でもこの小説のテーマになっているキスカ島からの日本軍撤退が描かれていた。撤退のあとアメリカ軍が上陸すると犬がいるだけであり、アメリカ軍が唖然とさせられたという内容だったと思う。『・・・泣くも笑うも決断一つ 勝っておごるな敗れて泣くな・・・』という主題歌と共に印象に残っている回です。
この小説の主眼は撤退に成功したことではなく、なぜ困難をおして圧倒的な戦力を持つアメリカ軍に包囲された孤島からの撤退作戦に挑んだかということです。奇跡に期待するのではなく、科学的な根拠に基づくき人道を貫いた人たちに感心させられる。そして、人道から外れることの容易さにも気付かされます。

 


 

<松岡圭祐さんの紹介>
1968(昭和43)年生れ。’97(平成9)年『催眠』で小説家としてデビュー。映像化もされ、ベストセラーとなる。以後、『催眠』『千里眼』『万能鑑定士Q』の三大シリーズをコンスタントに発表し続け、いずれも大ヒットを記録。近著に『探偵の探偵』『水鏡推理』『ジェームズ・ボンドは来ない』がある。(新潮文庫から)

 


 

松岡圭祐さん その他の文庫本

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探偵の探偵
探偵の探偵U
探偵の探偵V
探偵の鑑定T
探偵の鑑定U
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水鏡推理 T・U

 


 

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