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誉田哲也 EyeEm/Getty Images ノワール 硝子の太陽 中公文庫
カバー写真 EyeEm/Getty Images

 

沖縄の活動家死亡事故に反米軍基地デモが全国で激化する中、新宿署の東弘樹警部補は、「左翼の親玉」を取り調べていた。その矢先、異様な覆面集団による滅多刺し事件が発生。被害者は歌舞伎町セブンにとって、かけがえのない男だった ―。
『硝子の太陽N ノワール』を改題し、短篇「歌舞伎町の女王 ― 再会 ―」を収録。(中公文庫 裏表紙から)

 


 

ネタバレ無しの読後感想

誉田哲也の小説を初めて読んだのは『ジウ』だったと思います。こんなにもグロテスクな文章を書けるものだとの驚きは大きかったです。
ジウ・シリーズの後も多くの警察小説上梓しており、文章内にちりばめられている警察特有の内々の情報が多く、著者の情報収集力にびっくりさせられる。豊富な知識がなければ絵空事だらけの物語になってしまうが、誉田哲也の小説は違う。どんなにディープで歪んだ世界を描いても、「こんなこともあるかもな・・・」と思ってしまうほどに時事やテクノロジーをも物語の背景に織り込んでしまう能力は格別なのではないかと思います。

 

この小説は、警察小説に暗黒社会に生きる正義(ダーク・ヒーロー)をミックスした贅沢な小説です。警察小説に必須のスピード感が十分にあり、エンディングも期待どうりでスッキリとする。
途中でストロベリーナイトの主人公、姫川警部補が脇役で出てくるのは、ファンにとってとても嬉しいサービスです。
それにしても、「硝子の太陽」というサブタイトルがピンときません。

 

できれば、『歌舞伎町セブン』と『歌舞伎町ダムド』を読んだ後に手に取ってほしい本です。

 


 

<誉田哲也さんの紹介>
1969年東京生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。『ストロベリーナイト』『ジウ』といった警察小説や『武士道シックスティーン』などの青春小説で多くの読者を獲得する。他の著書に『ヒトリシズカ』『増山超能力事務所』など。(双葉文庫から)

 


 

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