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城山三郎 森岡完介 勇者は語らず 新潮文庫
カバー装画 森岡完介

 

川奈自工の人事部長冬木と、その下請け会社の社長山岡。かつて戦場で同じトラックに乗っていた二人を通し、戦後日本経済の勇者<自動車産業>の内部をリアルに重層的に描く。巨大な力ゆえに海外から激しい非難の矢をあびせられながら、沈黙を守るメーカー。その下でより大きな沈黙を強いられる下請。その構図の中に、戦後を生きぬいた日本人の縮図をさぐった書下ろし長編小説。(新潮文庫 裏表紙から)

 


 

<城山三郎さんの紹介>
昭和2年、名古屋市生まれ。一橋大学卒。昭和32年、「輸出」で文學界新人賞を受賞後、本格的な文筆生活に入る。昭和34年、『総会屋錦城』で直木賞受賞。その後、組織とそこに生きる人間の問題を深く追求した話題作を次々と発表。日本の経済小説の先駆者といわれる。代表作に『辛酸』『小説 日本銀行』『鼠 ― 鈴木商店焼打ち事件』『価格破壊』『雄気堂々』『男子の本懐』『落日燃ゆ』『黄金の日日』他多数。平成19年没。(角川文庫)

 


 

経済小説というジャンルを確立した直木賞作家だ。大学生から20代までよく読みました。多くの作品のストーリー構成が、窮地に立った状態から、知恵と努力を積み重ねて数々の困難を克服するというものだが、特定の人物が孤軍奮闘するハードボイルドではなく、企業という集合体であるので、一社員にすぎなかった私にとって、「ワクワク」「ドキドキ」するものだった。
また、歴史小説も多数書き残しており、多才な作家だったことがわかる。
時代が変わり、現在の法律や仕組みに合わないことが多々あるが「そんなの関係なく」十分に楽しめる。

 


 

城山三郎さん その他の文庫本

零からの栄光
冬の派閥
大義の末
役員室午後三時
生命なき街
乗取り
素直な戦士たち
雄気堂々 上
百戦百勝 働き一両・考え五両

 

 


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