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柴田錬三郎 鴇田 幹 孤独な剣客 新潮文庫
カバー装画 鴇田 幹

 

母の密通の相手に父を討たれ、自ら母を斬った十三歳の少年は、孤独と虚無に沈潜し、父の敵を追って放浪する。おのが身のまわりの物をことごとく修業の対象にし、紙撚りで行燈の紙を突き、天井からつりさげた椋の実を刀の切っ先で突く ― 剣の修業は無心。妻帯せず家も持たず、行く先々で魔杖にひとしい業を示した幕末の剣客上田馬之助の生涯を描く表題作はじめ13編を収録。(新潮文庫 裏表紙から)

 

<収録>
微笑剣
孤独な剣客
妬心
比翼の果て
奇蹟の武将
花の剣法
助六一代
忠臣
修羅長脇差
斑三平
花は桜木
血の果て
男伊達

 


 

ネタバレなしの読後感想

この短編集を構成する13編はバラエティに富んでおり、その主人公は剣客あり、武士の妻や娘あり、力持ちの武士あり、忍者あり、侠客ありと賑々しい。
ストーリーは伝記小説が得意だった作者らしく、気力・体力や技が超人的であったりするものが多く見られる。全体的に人生の虚しさのようなものが漂っている。13編の中に、きっとあなたのお気に入りの物語があるはずです。

 


 

チャンバラ小説の作家として、バラエティー番組のタレントとして活躍した方だ。1970年代までは多くの時代劇ドラマがあり、子供たちは空き地で棒を持ち、チャンバラごっこをしていた。柴田錬三郎は、『眠狂四郎』などの剣豪小説を書き、このチャンバラブームの立役者となった。眠狂四郎の円月殺法を、子供たちが真似をしないわけがなかった。剣先で大きな円をゆっくりと描く田村正和さんの姿は、とてもカッコよかったから。

 


 

<柴田錬三郎さんの紹介>
1917年3月26日岡山県生。本姓斎藤。慶大支那文学科卒。在学中『三田文学』に「十円紙幣」を発表。戦後編集生活を経て、51年「イエスの裔」で直木賞受賞。代表作「眠狂四郎」「赤い影法師」他。(集英社文庫から)

 


 

柴田錬三郎さん その他の文庫本

決闘者 宮本武蔵 少年篇
決闘者 宮本武蔵 青年篇
決闘者 宮本武蔵 壮年篇(上)
決闘者 宮本武蔵 壮年篇(下)
血汐笛
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続江戸群盗伝

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